大空ひろしのオリジナル小説

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繋ぐ遺伝子

我が妻と結婚する前、つまり交際期間中。
彼女がこう言った。
「25歳前後で子供を産むと良い子が出来るんだって」


当時はその言葉の裏付けやデーターなど全く気にせず、諸手を挙げて大歓迎で子作りにセッセと励んだ。
当然の如く妊娠。お互い精子や卵子に問題が無かったようなので。
あまりお腹が大きくなるとウェディングドレスが着れないと、急いで結婚。


もしかしたら策略? いやいやそうは思いたくない。


そして生まれたのが長女。この娘が「良い子」かどうかは未だに疑問。
とにかく私の遺伝子をしっかり繋いでいるようで、我が儘、自分勝手、我が強いを引き付いた。妻が言うには「悪性遺伝子」
我が良き遺伝子は何処に行ったのかと思う程だ。


後で気付いたのだが、娘に引き継がれた遺伝子は必ずしも私の物だけではなかった。しっかり妻の分もあった。
なかなかの強情っぱり遺伝子をね。


それでもよくよく「良遺伝子」を探すと、とにかく健康体。本当はこれが一番素晴らしいのかも知れない。
小さい頃から病院に行ったことが無い。娘の妊娠出産時は別。


娘が幼児の頃、「私、疲れたから寝る」と一人で布団に潜る。
体温を測ってみたら結構高かった。医者に行くのを嫌がったのでそのまま寝かせたら
翌日には平熱に。恐ろしき快復力。親は薬を与える暇も無く全快。


学生時代も医者に罹った事が無かったと記憶している。
ただ、娘なので女性特有の疾患などで、私に知らせず病院に行ったことがあるかも知れない。


親を超えた難しい娘だったが、ある日男を連れて来た。
私も妻も、厳しい表情で迎えたが、内心は喜び、否、真実はホッと安心した。


例え若薄毛頭だったとしても、何の不服もない。嫁として貰ってくれるだけ有りがたいと思ったのは事実。
まあ、薬剤師で給料も良かったし、とにかく雰囲気は大人しい。
娘の傲慢な性格に付いて行ってくれそうだったので。
今では娘が苦労させるのか、一段と薄毛が目立って来ている。


かように遺伝子は絶大な影響力がある。女性が男性を選り好みする気持ちも分かる気がする。
より良い遺伝子を受け入れ、子孫に繋げたいという本能的な欲求が組み込まれているからだろう。あらゆる生物、雌に与えられているようだ。
その反面、雄は自分の遺伝子を継がそうと、己を省みず雌にアタックする。
うん、正常だな。


なので女性達は男性のアタックに対し、嫌悪感や忌避感を抱いても表立って示さないで欲しい。
男性は、以外と傷つき易い。その理由は、「しょうもないプライド」が高いから。
宜しくお願いしますね。
昨今の男性諸氏は傷つくぐらいなら一人でも良いと、強がりが優先するようなので。


それにしても、女性は弱い立場というけど、妻になり奥さんおばさんを経れば。
体力的には男性の方が強いが、多くの場合様々な対立では女性の方が強い。
DVの気がある男は別。犯罪だしね。
我が家でも表面的に折れるのは自分。ただし、重要な決断は譲らない事にしている。




【大空ひろし】駄目なんだから/feat.さとうささら